珪藻土壁材を選ぶ

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珪藻土

『珪藻土』で検索をかけると、たくさんの珪藻土壁の紹介ページが表示され、天然素材、ホルムアルデヒドを吸着して分解、湿度調整機能、脱臭など、いかに珪藻土壁が高機能であるかのコピーが並んでいます。「ほんとかよ〜」となりますね。

いろいろ調べてみると、各社の公表データは測定条件が同じではないため、それを比較したとしても、あまり意味がなく、 各社の珪藻土壁材にどれくらい差があり、どの程度の効果があるのか、さっぱり見当がつきません。 しかし「珪藻土壁の性能には差がある」ようなのです。ではどの珪藻土壁材を選んだらよいのか....

自分で比較できるのか?

もし自分で試すとして、たとえば「製造メーカーの違う2種類の珪藻土壁に水滴をたらしてみるとどうなるか」...これは水滴をたらして5分後の写真ですが、左の製品の水滴はそのままなのに、右の製品の水滴は吸収されています。あきらかに違う、しかしこれで何がわかるのか?。詳しくは次のエントリーへ

『水滴をたらす』の件はともかく、珪藻土壁に使われている成分なら、ある程度比較できそうです。
ではその前に珪藻土の概要から

珪藻土とは

珪藻土は「植物性プランクトンの珪藻が堆積してできた珪質の化石」で、主成分は二酸化ケイ素。その表面には微細な孔がたくさんあるため、そこに空気中の水蒸気や臭い成分などがとらえられ、調湿、脱臭などの効果が期待できる。しかし珪藻土そのものは固まらないため、壁材として使用するために通常、結合材をまぜて製品化される。

珪藻土壁の性能は、使われる珪藻度そのものの違い、結合材の種類とその比率、そして測定条件などによって左右されそうです。

珪藻土壁材の結合材

結合材の種類には、樹脂、植物のり・でんぷん、セメント、石灰(消石灰)、石膏などがあります。 樹脂は付着性がよくもっとも安定性があるといえますが、吸放湿に関わる小さな孔を塞ぐため、一般的には量が多くなるほど吸放湿性能を阻害します。 また樹脂を使用せず、植物のり・でんぷんなどの天然素材のみを結合材として使用した場合は、一般的に表面強度が弱く、水で拭くと表面が溶けて崩れることがあります。経年劣化の点でも樹脂に劣り、数年経つと糊の劣化により崩れやすくなります。
吸放湿機能の性能を比較するため、珪藻土壁に水をかけて吸水力を比較し、吸湿の高さを示す試験をしている商品もあります。一般的に、吸放湿性能が高い材料は“高吸水”、低吸水材料は“低吸湿”ですので、このような比較がされることがあるのです。 しかし、本来は「吸水」と「吸湿」は別の現象です。水の表面張力が影響する水滴の大きさに対して、水蒸気の分子は小さいため、吸水しなくても吸湿することは可能です。
引用田川産業 / 大地の息吹

珪藻土の種類

珪藻土の種類は加工方法によっていくつかに分かれます

  • 自然乾燥品:不純物を含むが安価。
  • 焼成品:自然乾燥品を約800℃で焼いた製品(七輪など)
  • 融剤添加焼成品:自然乾燥品に食塩とソーダ灰を加え、約1,100度で焼いたもの、色は白色。

珪藻土の産地

国内で主要な産地としては、石川県、秋田県、岡山県などで、一般に珪藻土の産地による性能差は、それほどないとされているようです。しかし稚内産珪藻土がひとつ抜けているというデータがありました。このデータが面白い、この数値がどの程度製品の違いとして出るかはともかく、『産地による性能差も確かにある』ようです。

どの珪藻土壁材を選ぶか?

吸湿性能は、稚内珪藻土と吸放湿機能への影響が少ない結合材、さらに調湿石膏ボード(珪藻土入りの製品)を使った場合が理想的のようです、その「理想的な珪藻土壁」と「通常のビニールクロス+石膏ボード」とを比較した場合でも、部屋の条件にもよりますが、湿度の差は数パーセントから十数パーセント程度の違いだそうです。「通常の石膏ボード(プラスターボード)+珪藻土」の組み合わせでは、さらに性能差が少なくなります。

「珪藻土壁は部屋の湿度を60%程度に調整...」とか書かれているページもありましたが、よほど特殊な条件でもないかぎり、まずありえないでしょう。 「実際の施工の場合、調湿機能が実感できるかどうか....のレベルではないか」という気がします。

それでも機能を持った壁を使ったというのは嬉しいもんで、性能に期待しすぎなければお勧めできます。 珪藻土壁は色調や表面の仕上げ方法もいろいろあり、白色珪藻土を使うと明るめの珪藻土壁となり美しいようです。壁を塗ってみると、ザラッとした質感がビニールクロスに慣れた私には新鮮でした。部屋の臭いは全く感じられません、もしかして珪藻土壁の機能によるものかも?。

参考リンク

結合材も天然素材の珪藻土壁材

エコロジーとか天然素材にこだわるなら、結合材も含めて考えないといけないかもしれません。通常、樹脂の結合材に比べると、付着強度が低めとなるため、しっかりとした下地処理をしないと不都合が起きるかもしれません。下地処理に自信がないなら上手な左官屋さんに頼んだほうが良さそうな製品に感じます。

サメジマコーポレーション
リターナブルパウダーは珪藻土の結合材に粘土やでんぷんを使い、セメントや樹脂を使っていないのが特徴。 珪藻土含有率は57%と明記、標準施工厚2mmでの平米材料単価は2,100円。 ビニールクロスへの施工はクロスのはがれ止めのため20〜30cmピッチでタッカー止め後シーラーを塗布リターナブルパウダー

日本システム機器株式会社
北のやすらぎは吸放性能において優秀な稚内層珪藻頁岩を使い、結合材にはセメントや樹脂を使用していないため解体時にはそのまま自然に帰すことが出来る。 ビニールクロスへの施工は専用プライマーを塗布 北のやすらぎ

樹脂の結合材を使用した珪藻土壁材

樹脂の結合材を使った珪藻土壁材では、通常、付着強度が高いためDIYの施工に向いていると思います。このタイプの選択肢は非常に多く価格もいろいろ、さまざまな製品があります。ただし使われている樹脂によっては吸放湿機能が低下してしまう製品とか、湿潤状態では付着強度が極端に低下してしまう製品もあるようですが、その比較は簡単ではないようです。

田川産業
大地の息吹は優れた調湿性能を持つ「稚内珪藻土」を使用、結合材は液状の透湿性アクリル、標準施工厚2mmでの平米材料単価は約2,000円。 付着強度は湿潤状態でも高く、ビニールクロスへの施工はそのまま塗ることができる 大地の息吹

フジワラ化学 / 珪藻土仕上材
珪藻土の結合材は粉末樹脂(吸放湿機能にはほとんど影響しません) 珪藻土含有率は体積比として40% 標準塗厚2〜3mm。平米材料単価は約1,500円くらいか?。 ビニールクロスへの施工はサンドペーパーかナイロンたわしによる目荒らし(全面)、クロスのつなぎ目にはファイバーテープ クリーンエコ

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2007年9月 9日 作成:ita

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