世界最小の立体構造トランジスタSRAMセル

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東芝、IBM、AMDの3社は、共同で非平面型としては世界最小SRAMセルを開発

開発したのは高誘電率ゲート絶縁膜およびメタルゲートを用いたFinFET(フィン形状の立体構造電界効果トランジスタ)で、セル面積がわずか0.128μm2と、立体型としては世界最小のSRAMセル。このFinFETは、22nm世代以降において従来の平面のFETに比べ著しく優位であることを確認したとしています。 サンフランシスコで開催中の半導体国際学会(IEDM)で16日(現地時間)発表。

従来の平面トランジスタを用いてSRAMセルを作製する場合、半導体メーカーは一般的に高濃度の不純物をデバイス部分に注入することでトランジスタの特性を調整してトランジスタを小型化していました。しかし、この調整方法は望ましくない特性ばらつきを生じさせ、SRAMの安定動作性を低下させてしまいます。この問題は特に22nm世代以降において深刻になりつつあります。シリコンチャネル部分に不純物注入を必要としないFinFETは、ばらつきを抑制しつつSRAMセルの小型化を実現する、従来の平面トランジスタに代わるアプローチのひとつです。

株式会社 東芝

HKMG(高誘電率ゲート絶縁膜およびメタルゲート)は現在Intelのプロセッサでも使われているバルクCMOSプロセス上のテクノロジーです。このため現在AMDのプロセッサが採用しているSOIプロセスには直接関係はありませんが、AMDから分離されたFab(The Foundry Company)ではSOIプロセスに加え、バルクCMOSプロセスも手掛けることになっていますから、22nm世代以降にこのHKMG FinFETを使うことを考えているのでしょう。鮮明な写真が東芝にありますので見てみてください。

High-Kメタルゲート(HKMG)
CPUなどの半導体チップはFETで構成されますが、このFETの電流を制御する部分がゲートと呼ばれ、ゲートは薄膜によってそのまわりのシリコンから絶縁されています。このFETのゲート絶縁膜に「高誘電率ゲート絶縁膜」を使う技術をHigh-K、またはさらに省略して「HK」と書かれ、これに対し「低誘電体層間絶縁膜」を使う技術は「low-k」と表されます。

さらに、ゲートの素材に「金属」を使ったテクノロジーがメタルゲートと呼ばれるもので「MG」と省略して表され、 これは業界標準の一般的なゲートの構造であるポリシリコン・ゲート絶縁膜テクノロジー(Poly/SiON)に対しての性能改善です。 Intelは2007年から45nm「High-Kメタルゲート」を採用、IBMも「32nm High-Kメタルゲート」を開発しましたが、今回の東芝、IBM、AMDによる発表はHigh-Kメタルゲートを用いたFETの構造を非平面型にすることで性能を改善したという、トランジスタの構造の進化を伝えています。
メタルゲートに関する参考:半導体先端テクノロジーズ public_112.pdf

SOIプロセス テクノロジー
SOI(Silicon on Insulator)は現在のAMDのCPUが採用している技術で、 シリコン基板の表面からわずかに深い部分にシリコン酸化物の絶縁層を形成することで、絶縁層を超えて流れ出る電荷を減らす技術で、シリコン基板自体の性能を改善する技術。これに対して従来のシリコン基板は「バルクCMOSプロセス」と呼ばれる。

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2008年12月17日 作成:ita

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